新在留資格『特定技能』について全分野まとめました。むつかしい運用要領をわかりやすく解説。
【最新版】新しい在留資格【特定技能】の運用要領についてまとめました。
平成31年12月14日『出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律』が公布され、平成31年4月1日より施行されます。これにより、新しい在留資格『特定技能』の受け入れが開始されます。
【受け入れ分野】(受入れ上限人数)はこちら
- 介護分野(60,000人)
- ビルクリーニング分野(37,000人)
- 素形材産業分野(21,500人)
- 産業機械製造業分野(5,250人)
- 電気・電子情報関連産業分野(4,700人)
- 建設分野(40,000人)
- 造船・舶用工業分野(13,000人)
- 自動車整備分野(7,000人)
- 航空分野(2,200人)
- 宿泊分野(22,000人)
- 農業分野(36,500人)
- 漁業分野(9,000人)
- 飲食料品製造業分野(34,000人)
- 外食業分野(53,000人)
上記14の分野については、生産性向上や国内人材確保のための取組(女性・高齢者のほか、各種の事情により就職に困難を来している者等の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等を含む。)を行った上で、なお、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野ということで基本方針に記されています。
※特定技能2号での受入れ対象は、『建設分野』及び『造船・舶用工業分野』に限られています。
※法務局入国管理局平成31年3月発表の『特定技能外国人受け入れに関する運用要領』より加工して引用しています。
※このページは、運用要綱を大まかにまとめたものです。詳細はそれぞれリンクよりご確認ください。随時更新していきます。
【在留資格「特定技能」が創設された目的】
『中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているものです。』
今回の在留資格「特定技能」は、『人材不足を補うため、それもある一定の基準を設けて即戦力となる外国人の受入れを行うことを可能にする』制度改革です。
【基本方針】
- 特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項
- 人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に関する基本的な事項
- 当該産業上の分野において求められる人材に関する基本的な事項
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関するその他の重要事項
【分野別運用方針】
- 人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(以下「特定産業分野」)
- 特定産業分野における人材の不足の状況(当該産業上の分野において人材が不足している地域の状況を含む。)に関する事項
- 特定産業分野において求められる人材の基準に関する事項
- 在留資格認定証明書の交付の停止の措置又は交付の再開の措置に関する事項
- その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項が定められています
【外国人材に求められる技能水準等について】
◎「特定技能1号」で在留する外国人に対しては、相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められます。これは、相当期間の実務経験等を要する技能をいい、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいうとされています。
※ 当該技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認することとされています。
【技能試験】「特定技能」に係る試験の方針について
◎「特定技能1号」で在留する外国人に対しては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められます。
※ 当該日本語能力水準は、分野所管行政機関が定める試験等により確認することとされています。
【日本語試験】「国際交流基金日本語基礎テスト」または、「日本語検定試験(N4以上)」
◎「特定技能2号」で在留する外国人に対しては、熟練した技能が求められます。これは、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって、例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいうとされています。
※ 当該技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認することとされています。
【受け入れ機関の責務】
◎「特定技能外国人の受入れ機関」は、出入国管理関係法令・労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令等を遵守することはもとより、在留資格が創設された目的を理解し、本制度がその意義に沿って適正に運用されることを確保し、また、本制度により受け入れる外国人の安定的かつ円滑な在留活動を確保する責務があります。
◎ そこで、特定技能所属機関と外国人との間の雇用に関する契約「特定技能雇用契約」については、外国人の報酬額が日本人と同等額以上であることを含め所要の基準に適合していることが求められ、特定技能所属機関自身についても、特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして所要の基準に適合していることが求められます。
◎ また、特定技能所属機関は、特定技能外国人の受入れ後は、受入れ状況等について、地方出入国在留管理局に定期又は随時の届出を行わなければなりません。
【支援の実施】
◎1号特定技能外国人支援の実施
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を実施する義務があります。
◎1号特定技能外国人支援計画の作成
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人支援計画を作成しなければならず、1号特定技能外国人支援計画については,当該支援計画が所要の基準に適合していることが求められ、特定技能所属機関については、1号特定技能外国人支援計画の適正な実施が確保されているものとして所要の基準に適合していることが求められます。
◎1号特定技能外国人支援計画の委託
特定技能所属機関は、他の者に1号特定技能外国人支援計画の全部又は一部の実施を委託することができ、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託した場合は、1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準に適合しているとみなされます。
【受入れ機関が外国人と結ぶ雇用契約が満たすべき基準】
- 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
- 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
- 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
- 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
- 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
- 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
- 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
- 分野に特有の基準に適合すること
【受入れ機関自体が満たすべき基準】
- 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
- 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
- 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
- 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
- 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①〜④の基準に適合すること
- 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
- 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
- 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
- 分野に特有の基準に適合すること
【受入れ機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)】
- 以下のいずれかに該当すること
ア) 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可)
イ) 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ) ア)又はイ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
- 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 分野に特有の基準に適合すること
※登録支援機関に支援を全部委託する場合には満たすものとみなされる
【支援計画が満たすべき基準】
- 支援計画にア~オを記載すること
ア )支援の内容
- 本邦入国前に、本邦で留意すべき事項に関する情報の提供を実施すること
- 出入国しようとする飛行場等において外国人の送迎をすること
- 賃貸借契約の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援,預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること
- 本邦入国後に、本邦での生活一般に関する事項等に関する情報の提供を実施すること
- 外国人が届出等の手続を履行するに当たり、同行等をすること
- 生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
- 相談・苦情対応、助言、指導等を講じること
- 外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること
- 外国人の責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合において、新しい就職先で活動を行うことができるようにするための支援をすること
- 支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し、労働関係法令違反等の問題の発生を知ったときは,その旨を関係行政機関に通報すること
イ )登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の内容等
ウ )登録支援機関以外に委託する場合は、委託先や委託契約の内容
エ )支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
オ )分野に特有の事項
- 支援計画は、日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し、外国人にその写しを交付しなければならないこと
- 支援の内容が、外国人の適正な在留に資するものであって、かつ、受入れ機関等において適切に実施することができるものであること
- 本邦入国前の情報の提供の実施は、対面又はテレビ電話装置等により実施されること
- 情報の提供の実施、相談・苦情対応等の支援が、外国人が十分理解できる言語で実施されること
- 支援の一部を他者に委託する場合にあっては、委託の範囲が明示されていること
- 分野に特有の基準に適合すること
【外国人本人に関する基準】
『特定技能1号』『特定技能2号』に共通の基準
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
- 保証金の徴収等をされていないこと
- 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
- 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
- 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
- 分野に特有の基準に適合すること
『特定技能1号』のみの基準
- 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)
- 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと
『特定技能2号』のみの基準
- 必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること
- 技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること
【登録支援機関の登録に関する規定等】
登録支援機関の登録拒否事由として、法律でも、5年以内に出入国・労働法令違反があることなどが規定されているが、省令でも、以下の要件を加えている。
- 過去1年間に責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている者
- 支援責任者及び支援担当者が選任されていない者(なお,兼任は可)
- 以下のいずれにも該当しない者
ア. 過去2年間に中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績がある者であること
イ .過去2年間に報酬目的で業として本邦在留外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有する者であること
ウ .支援担当者が過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有するものであること
エ .ア~ウと同程度に支援業務を適正に実施することができる者であること
- 外国人が十分理解できる言語で情報提供等の支援を実施することができる体制を有していない者
- 支援業務の実施状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置かない
- 支援責任者又は支援担当者が欠格事由に該当する者
- 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させる者
- 支援委託契約を締結するに当たり、受入れ機関に対し、支援に要する費用の額及び内訳を示さない者
【受入れ機関の届出事項等】
■受入れ機関による、事由発生後14日以内の届出事項の詳細(1、2を含む)
- 特定技能外国人の受入れが困難となった場合、その事由
- 出入国・労働法令違反があったことを知った場合、その行為の内容
■受入れ機関による、四半期ごとの届出事項の詳細(1~4を含む)
- 特定技能外国人及び当該外国人の報酬を決定するに当たって比較対象者とした従業員等に対する報酬の支払状況
- 従業員の数、特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数、離職者数、行方不明者数等
- 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険に係る適用の状況等
- 特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳
■登録支援機関による、四半期毎の届出事項の詳細(1、2を含む)
- 特定技能外国人から受けた相談の内容及び対応状況
- 出入国・労働法令違反の発生、特定技能外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況
【その他】
■ 特定技能外国人の在留期間
- 特定技能1号の在留期間は通算で5年
- 1回当たりの在留期間(更新可能)は、
【特定技能1号】1年、6か月又は4か月
【特定技能2号】3年、1年又は6か月 諸申請手続
- 特定技能外国人に係る諸申請の際の添付資料(健康状態が良好であることを証する資料など)
- 登録支援機関による、特定技能外国人に係る諸申請等の取次ぎなど
【特定技能外国人受入れ手続の流れ】
◎特定技能外国人の受入れの申請
平成31年4月1日から受付できます。
◎申請の受付場所
全国の地方出入国在留管理局(空港支局を除く)にて受付。
登録支援機関の登録申請についても同様。
富山県においては、
名古屋入国管理局総務課 愛知県名古屋市港区正保町5-18 総務課 052-559-2150(代)
◎特定技能雇用契約の時期
技能試験及び日本語試験の合格と、雇用契約締結がどちらか先かという点については、特定技能外国人が各試験に合格した後、特定技能所属機関との特定技能雇用契約を締結することが想定されます。
特定技能雇用契約を締結した上で、受験することもできますが、各試験に合格しなければ、受入れかが認められないことに留意しておく必要があります。
◎外国人への内定について
必要な各試験の合格前に特定技能外国人へ内定を出すことは禁止されていません。
ただし、必要な各試験に合格しなければ、受入れが認められないことに留意しておく必要があります。
◎在留諸申請に必要な書類の一覧
『在留諸申請に必要な書類の一覧』をご覧ください。※リンク
◎在留諸申請の方法について
『在留資格認定書交付申請』については、特定技能所属機関の職員が代理人となり行うこととなります。
また、在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請については、本人又は申請取次者 等が、地方出入国在留管理局に出頭して行わなければなりません。
◎在留資格認定証明書交付申請の手数料について
『在留資格認定証明書交付申請』の手数料は無料。
『在留資格変更許可申請』又は『在留期間更新許可申請』については、許可時に4,000円が必要です。
◎登録支援機関に必要な書類の一覧
『登録支援機関に必要な書類の一覧』をご覧ください。
※出入国在留管理庁のホームページより引用
◎登録支援機関の登録申請の方法について
地方出入国在留管理局に申請書類を持参又は郵送により行うことができます。