≪番外編≫【入管法改正で変わるまちづくり 不動産業界の新たな挑戦!!】
新たな在留資格『特定技能』がこれからのまちづくりとどう関わるの?
【入管法改正で変わるまちづくり 不動産業界の新たな挑戦!!】
~事例に学ぶ外国人労働者の制度と実体 ~
講 師:アセアンブリッジコンサルティング株式会社 取締役 平木 良一 氏
先日、不動産流通ネットワーク 『コアネット』の3月定時例会に、オープン参加させていただきました。
私自身、人材採用とWeb活用のコンサルティングを行っていますが、その中でも外国人雇用のコンサルティングはメイン事業の一つです。これまでも、技能実習生、エンジニアの雇用がしたいという企業さんのお手伝いをさせていただいてきました。
今年2019年4月より解禁となった新たな在留資格『特定技能』の受入れにより、向こう5年間、外国人材の活用は今後ますます拡大します。実質数字で345,000人を上限とした『特定技能』での受け入れを予定しています。※詳しくはこちら
さて、今回のセミナーで平木講師の講演内容を、背景と実情をもとに、私なりの主観も交えてまとめてみましたので、興味のある方は読んでみてください。※以下、平木先生の資料より引用・転載させていただきました。
【レジュメ】
- 今回の入国管理制度改革の概要と国内における外国人材の実態
- インバウンド政策の概要と外国人観光客が地域経済に及ぼす影響
- 参考事例
- 如何にして外国人材を呼び込む環境を整備するか 自治体と連携した政府政策の活用
- 我々にできること 新しい流れに沿った事業のプランニング
- 今後の進め方 有志による研究会の設置 海外視察 アセアンの産業界、大学等との交流を通じた人材の流れを作る
- 質問、意見交換
5、6、7に関しては、コアネットに関して直接的な内容も含まれておりますので、ご紹介は控えさせていただきます。
1.今回の入国管理制度改革の概要と国内における外国人材の実態
日本にとっての抜本的な改革となるのが、2019年4月1日の入国管理法の改正です。※新たな在留資格『特定技能』について
これまで人材不足の補填としての単純労働が認められていなかった外国人の在留資格に『特定技能』が追加されます。
『高度外国人材』や、『エンジニア』と呼ばれる在留資格『技術・人文知識・国際業務』、技能・技術・知識を習得・習熟・熟達し母国に戻って活かすことを目的とした『技能実習生』と、これまで日本において外国人の就労には限られた在留資格でしか行えませんでした。
『特定技能』は実質的に、これまでの法令の緩和と考えられる要素がたくさんあります。多くの企業にとって人材不足解消の一つの手段となります。
現在の日本には様々な問題、課題が蓄積されています。その最たる課題が『人口の減少、少子高齢化問題』でしょう。
平木先生はこうおっしゃられました。
『現在は、日本における人口構成比率において、外国人材が占める比率が急激に増加しております。これは一過性のものではなく、また好きとか嫌いとかいうべきものでもありません。現実であります。』
私が今日最初に痛感したのはこの部分でした。
- 外国人が増加している。
- 新しい在留資格ができる。
- これからますます外国人が増加する。
これらは、揺るがない事実なのですよね。好きとか嫌いとか言っている場合じゃあないということです。このことを受け入れられて既に外国人の受入れを始めておられる企業は、事実、人材不足を克服しつつあります。
2.インバウンド政策の概要と外国人観光客が地域経済に及ぼす影響
シンガポールの著名な投資家であるジム・ロジャース氏は最近の著書の中で、
『日本の外国人受け入れへの政策の転換と外国人観光客を招致することによるインバウンド政策により、日本の観光事業と農業、古民家の再生が新たな投資対象になる』
と述べているそうです。
先生は3年前に労働力特命委員会に参加された時、外国人材の受入れに関する政府の本気度を垣間見られたそうです。
当時は人口減少、少子化の下での労働力の確保に関する討議がなされていたそうですが、その際の中心的な議題は、今後の外国人政策をどのように進めるかというテーマでした。
結論は、『今後は高度人材とか、単純労働者とかいう枠を超えて、国内産業界が求める人材をどのように確保するか』というものでした。人口の問題を正面から捉えた議論だったそうです。
今政府は、外国人観光客の招致というインバウンド政策を進めており、『2013年度に外国人観光客が1000万人』を突破し、『2018年度には3000万人』を突破しました。日本を訪れる『外国人観光客が消費する金額も4兆円』を突破したそうです。
確かに私が昨年、京都、奈良を旅行で訪れた際も、周囲を見渡すと半分くらいが外国人で驚いた記憶があります。観光地のほとんどで英語のメニューや看板ができていました。
都心部を中心にチェックインからキャッシャーまで一つの機械で対応できるビジネスホテルが増加しています。大阪のお好み焼き屋では店舗入り口に外貨から円にエクスチェンジできる両替機が設置されていました。
一方で私たちが住む富山県は、いったいどの程度のインバウンド政策がなされているのでしょうか。
今回の新たな外国人材の受入れ政策で大切なことは、外国人材を単なる過渡的な労働者ではなく、生活者、消費者としても受け入れる体制作りを自治体とともに検討することです。
新しい体制作りの主人公は、自治体と民間企業であるということです。
既に私たちが住んでいる自治体も外国人材との共生社会の環境整備に向けて動き出しています。私達は、これらの政策によって生じる人口構成の変化を、地域再生の契機と捉えるべきであると先生は考えておられます。
3.参考事例
現在の社会のグローバル化、人口減少、少子化、2025年問題といった数々の問題を抱える中で、全国で進められている新しい入国管理制度やインバウンドへの対応例として以下のような参考事例を紹介します。
実際に既に富山県でもすすんでいる実例がありますので、紹介します。
4.如何にして外国人材を呼び込む環境を整備するか 自治体と連携した政府政策の活用
現在は、『人生100年時代』です。この時代に生き残るためには、新しいビジネスモデルの立案が必要になります。外国人材の活用はそのうちの一つでしかありません。
企業単独で取り組めるような小さな問題ではありません。
一方、自治体がどんなに頑張っても、企業や住民の協力なくしては成し得ません。
【新しいまちづくりに求められる要素】
- 「健康力」
- 「経済力」
- 「創造力」
- 「情報力」
- 「コミュニケーション力」の増進と活用
【これからの時代における課題】
- 人口減少、少子高齢化の深化により生じる変化、地方の疲弊、経済規模・市場の縮小に伴う構造変化
- 各産業界に求められる新しい社会、新しい街造りのデザイナー、クリエーターとしての自覚
- グローバル化、産業人口構造の変化
- 外国人材の活用、外国人材を受け入れる多文化共生社会の実現に向けた環境整備
- 高齢者の知見の活用、人財としての位置付け
【事業テーマ】
- 高齢者を人財として活用、潜在的可能性の発掘、ビジネスモデルの立案と運用
- 各産業界に求められる新しい街造りのデザイナーとしてのビジネスの立案
- 今後、政府政策に則って増加する外国人材の育成、研修への高齢者の持つ知見の活用
- 事業推進のプロジェクトチームの発足
今ある課題に対して、新しいビジネスモデルを構築します。その為には地方創生という大義があり、公益性があることが大前提です。政府、自治体との連携しあえるビジネスであるからこそ、推し進めていけるというものです。
まとめ
今回は、不動産業界の団体主体のセミナーでしたが、今後恐らくあらゆる業界にとっても、4月に改正される入国管理法による新たな在留資格『特定技能』による外国人労働者の増加は日本にとっても大きな転換期を迎えると考えます。
新しい制度や、時代の変化に対してなかなか順応できない環境もあるとは思うのですが、現状を踏まえて、これは紛れもない事実です。であるならば、いち早くその変化に対応し、受け皿を作り上げていくことが自社にとっても大切ではないでしょうか。
しかし、一企業ごとに取り組むことはなかなか容易ではありません。かといって自治体単独で行うことも難しいでしょう。であるからこそ、各業界団体や各経済団体が、自治体と一体となって取り組んでいく必要があります。
今、政府が進めているインバウンド政策、新しい外国人材受け入れの入国管理制度導入に伴う環境整備は、民間企業と自治体との連携で参画する環境整備です。
政府は日本国内における外国人材受け入れの為の環境整備支援都市として、82の中核中枢都市を選定しました。富山県では、富山市・高岡市・射水市が選定されています。地域産業界が産官学連携して考え、共生、共働の環境を整備しようというものです。
平木先生、コアネット様
地域の活性化やグローバル化は不可欠であると改めて気づかせていただきました。地域産業界が産官学連携していく為のコミュニティーを作っていこうと考えるきっかけを頂いた講演でした。
この度は多くの学びと貴重な出会いの機会を頂き、感謝申し上げます。
最後になりますが、
スマイルベアーは、人材採用、外国人雇用、WEBコンテンツを主体とした企業コンサルティングが中心となります。目的は、地元企業の繁栄のお手伝いをすることです。計画的な人材採用とWEBの活用よる『人材とお客さんの集客』は、これからの時代、企業の繁栄・永続には不可欠です。
『あなたのお困りごとを解決して、共に笑いあえるパートナーになりたい』
オフィス スマイルベアー 山口 真二