在留資格『特定技能』の受入れには何が必要?~受入れ開始から現在までの状況は?富山県は?~
在留資格『特定技能』の受入れが既に始まっています。
2019年4月1日に新たな外国人材の受入れの為、在留資格『特定技能』が解禁されました。
※法務省HP、出入国在留管理庁資料より一分引用させていただいています。
令和元年6月末現在で、『20名』が公表されています。
【産業分野】
- 素形材産業・・・11名(ダイカスト11名)
- 産業機械製造業・・・6名(電子機器組立て3名、金属プレス加工2名、溶接1名)
- 農業・・・2名(耕種農業全般2名)
- 飲食料品製造業・・・1名(飲食料品製造業)
【都道府県別】
- 岐阜県・・・11名(素形材産業11名)
- 兵庫県・・・5名(産業機械製造業5名)
- 大阪府・・・2名(農業分野2名)
- 京都府・・・1名(飲食料品製造業1名)
- 富山県・・・1名(産業機械製造業1名)
【国籍別】
- タイ・・・11名(素形材産業11名)
- ベトナム・・・7名(産業機械製造業6名、飲食料品製造業1名)
- カンボジア・・・2名(農業分野2名)
在留資格認定の手続きに2~3ヶ月程度かかりますので、すごく早い対応ですね。
『特定技能』の受入れには、日本語能力水準と技術水準が必要であり、試験がまだ行われていない分野ですので、在留資格『技能実習2号』からの移行による取得ですね。
『特定技能』の受入れを検討している方も多いので、早速必要な要件を確認していきます。
在留資格『特定技能』とは何でしょう?
以前、『特定技能』の運用要綱について書きました。が、やはり難しすぎるので、もう少しわかりやすくまとめてみます。
『特定技能』とは?
【特定技能1号】
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
【特定技能2号】
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格 ※建設、造船・舶用工業のみ
【特定産業分野(14分野)】
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、 建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
『特定技能1号』のポイント
【在留期間】
通算で上限5年まで(1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新)
※2号は期限なし(3年、1年、6ヶ月ごとの更新)
【技能水準】
試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は免除)
【日本語能力水準】
生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は免除)
※2号は不要
【家族の帯同】
基本的に認めない
※2号は要件を満たせば可能(配偶者、子)
【受け入れ機関または登録支援機関による支援】
支援の対象である。
※2号は対象外
受入れ機関と登録支援機関について
受入れ機関について
【受入れ機関が外国人を受け入れる為の基準】
- 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)
- 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
- 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)
【受入れ機関の義務】
- 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
- 外国人への支援を適切に実施⇒支援については登録支援機関に委託も可。全部委託すれば前項3を満たす。
- 出入国在留管理庁への各種届出
※1~3を怠ると外国人を受けられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令などを受けることがある。
登録支援機関について
【登録を受けるための基準】
- 機関自体が適切(例:5年以内に出入孤高・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制あり(例:外国語が理解できる言語で支援できる)
【登録支援機関の義務】
- 外国人への支援を適切に実施
- 出入国管理庁への各種届出
※1、2を怠ると登録を取り消されることがある。
就労開始までの流れ
【特定技能として想定される外国人】
<海外から来日する外国人>
- 技能実習2号を良好に修了した外国人(試験は免除)
- 新規入国予定の外国人(国外試験に合格)
<日本国内に在留している外国人>
- 技能実習2号を良好に修了した外国人(試験は免除)
- 留学生など(試験に合格)
今、注目されているのは留学生です。これまで留学生の多くは在留資格の問題から、日本の企業に就職できず、帰国を余儀なくされていました。『特定技能』により、留学生が日本で働ける機会が増加し、これからの新卒採用にも影響しそうです。
一番スムーズなのは、『技能実習生』から『特定技能』への移行です。既に『技能実習2号』を修了している、もしくは修了予定の人は移行対象業務であればスムーズに取得可能です。今回の20名もそれでかなり早く取得できたと考えられます。
【特定技能の求人募集】
『特定技能』として外国人を採用しようとする時には、次の方法があります。
- 海外への求人募集に直接申し込む
- 民間の職業紹介会社による求職のあっせん
- 国内の求人募集に直接申し込む
- ハローワークによる求職のあっせん
一般的には、民間の職業紹介会社へ依頼すると、給料の何ヶ月分といった紹介料が必要になります。
海外への求人募集やハローワークで見つけられた方が、採用コストは安くできそうです。
【受入れ機関と雇用契約の締結】
受入れ機関は、人材が見つかったら、日本人を雇用するのと同様に、外国人本人と『雇用契約を締結』する必要があります。
また、『事前ガイダンス』を外国人本人がよく理解できる言葉で実施する必要があります。
【在留資格認定証明書交付申請】
<海外から来日する外国人>
受入れ機関の職員等による代理申請
⇒審査が通れば『在留資格認定証明書』が交付され、在外国間(外国人の母国にある日本国領事館など)へ提出し、査証(VISA)が発給されれば入国となります。
<日本国内に在留している外国人>
本人申請が原則
⇒審査が通れば『在留資格変更許可』が下り、在留カードが交付されます。
【入国後(又は在留資格変更後)遅滞なく実施すること】
- 受入れ機関が実施する生活オリエンテーションの受講
- 住居地の市区町村等での住民登録
- 給与口座の開設
- 住宅の確保など
支援計画の概要
受入れ機関は、1号特定技能外国人に対して『特定技能1号』の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画を作成し、当該計画に基づき支援を行わなければならない。
この支援計画が今回の『特定技能』において、最も重要な部分であると言えます。
なかなか、中小企業単独でこの支援計画の要件を満たすことが難しい為、『登録支援機関』に全部委託することができる事になっています。
もちろん『登録支援機関』に委託するとそれなりに管理費、委託費が発生します。
支援計画の概要
【支援計画の作成】
受入れ機関は、在留書申請に当たり、支援計画を作成し、当該申請の際にその他申請書類と併せて提出しなければならない。
【支援計画の主な記載事項】
- 省令で定められた10項目(以下で解説)の実施内容・方法等
- 支援責任者及び支援計画者の氏名及び役職等
- 支援の実施を契約により他のものに委託する場合は当該他の者の氏名及び住所等
- 登録支援機関(登録支援機関に委託する場合のみ)
【支援計画実施の登録支援機関への委託】
- 受入れ機関は、支援計画の全部または一部の実施を他の者に委託することができる。
- 受入れ機関が支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、外国人を支援する体制があるものとみなされる。
- 登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施を更に委託することはできない。
【省令で定められた10項目】
①事前ガイダンス
②出入国する際の送迎
③住居確保・生活に必要な契約支援
④生活オリエンテーション
⑤公的手続きへの同行
⑥日本語学習の機会の提供
⑦相談・苦情への対応
⑧日本人との交流促進
⑨転職支援(人員整理等の場合)
⑩定期的な面談・行政機関への通報
上記、10項目について、多くの部分でスマイルベアーでも支援ができます。
※詳しくは『スマイルベアー 日本語教室&コミュニティー』をご覧下さい。
『特定技能』の登録支援機関は、現在登録が1,000件を超えています。
登録支援機関に委託した場合の費用は『技能実習生』の管理費を踏襲しているようです。機関によって異なりますが、安くても一般的には25,000円前後でしょうか?
ちなみに一人当たりにかかる費用です。
技能実習生の場合は、管理団体を通した受入れが基本になっていましたが、『特定技能』は受入れ機関として会社単独で受け入れるケースが増えそうです。
外国人を雇用する企業も増えてきていますので、登録支援機関に委託せずに、先ずは企業単独で支援計画を講じることができれば、コストも抑えることができます。
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登録支援機関に委託せずに受け入れる方法もご支援できます。まずは話だけでもという方は、いつでもご連絡下さい。
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オフィス スマイルベアー 山口 真二